バイクのDIYメンテナンスは、適切な工具を選ぶだけで難易度が大きく変わります。
しかし適切な工具選びって悩ましいですよね。
私自身、最初はよく分からないまま工具を買っていった結果、使わない工具が増えたり同じような工具を買い直したりと、無駄な出費がかさんでしまいました。
「とりあえず揃えておけば安心」と思っていましたが、実際には遠回りだったと感じています。
そこで本記事では、
・「安物買いの銭失い」を避ける
でもDIYに見合わないような高額な工具にも手を出さない
(つまり「コスパを重視」)
・必要なものに絞る
でも「これあると作業がより効率的になる」もプラスアルファとして紹介
という考え方で、DIYメンテナンスに必要な工具を解説していきます。
工具は“段階的に揃える”のが正解
工具は最初からすべて揃える必要はありません。
作業内容に応じて、段階的に揃えていくのが最も無駄のない方法だと思っています。
ステップ1(まずはここから)
どのスクーターでも六角ネジは使われていて、このネジを脱着するにはソケット+レンチを使用します(一体型の工具ももちろんありますが、ソケットで揃えていく方が圧倒的にコスト効率が良くなりますし、電動工具を使う際にはソケットが必須になります)。
このソケットはいろいろなサイズがあるのですが、まずは
差込角3/8インチ(9.5mm)
このサイズをベースに揃えれば、スクーターの
・オイル交換
・スパークプラグ交換
といった基本的なメンテナンスはほぼ対応可能になります。

差込角を意識しないでソケットを買っていくと、使わなくなるソケットがどんどん増えていってしまいます。
ステップ2(作業の幅を広げる)
差込角1/2インチ(12.7mm)
タイヤ脱着や駆動系メンテ(クラッチのセンターナット脱着など)といった、高トルクが必要な作業を行う場合に必要になります。
まずはステップ①から始めて、必要になったタイミングで追加していくのがおすすめです。
「差込角(さしこみかく)」とは?
差込角とは、ソケットレンチの差し込み部分のサイズのことです。

ボルト・ナット部分(先端部分)だけ別パーツにすることでコスト効率良くいろいろなサイズのボルト・ナットを回せるようになるのですが、ボルト・ナット部分をラチェットハンドルなどの回すためのパーツに取り付けるための取付部分のサイズを「差込角」と呼びます。
ボルト/ナットは、ホームセンターに行くと小さいものから大きいものまで非常に多くの種類がありますよね。
極端な話、自転車で使われる小さなボルトとトラックで使われる大きなボルト用のソケットを同じサイズの差込角で使うのはどう考えても現実的ではないので、「1/4インチ(6.35mm)」~「1インチ(25.4mm)」まで差込角の規格が定められています。
スクーターでは
・1/4インチ(6.35mm):細かい作業向け
・3/8インチ(9.5mm):最も使用頻度が高いメインサイズ
・1/2インチ(12.7mm):高トルク作業向け
が主に使われるサイズになりますが、「3/8インチ(9.5mm)」がスクーターのDIYメンテナンスでは中心になってきます。
ソケットはセット買い?バラ買い?
ソケットレンチは「セット購入」と「バラ買い」の2つの選択肢があります。
私自身いろいろ試してきましたが、現在は必要最低限の構成に絞られたセットを選ぶのが最もバランスが良いと感じています。
一方で、既に一部工具を所有していてこれから必要なサイズが分かっている場合は、バラ買いで最適化していくのも有効な選択肢です。
バラ買いのメリット
・使わない工具を買わずに済む
・必要な品質のものを選べる
個人的には、意外とバラ買いでもセット買いよりそれほど割高にはならない印象です。
ですので、既にいくつか工具を所有している方は、必要なものだけをバラ買いしていくのがおすすめです。
セット買いのメリット
・ケース等が付属されることが多く整理しやすい
・付属ソケットの種類が多くなる分、いますぐ必要にはならないソケットも所有することにはなるものの、今後いろいろなDIYに挑戦したいときに役に立つ可能性がある
サイズの把握に不安がある場合や、今後いろいろな整備に挑戦したい場合は、セット購入の方が結果的に手間やコストを抑えられるケースもあります。
Dio110(JK03)で実際に使うソケットのサイズ
Dio110(JK03)であれば、
・8/10/12/14mmの3/8インチ(9.5mm)ソケット
・エクステンションバー
・ラチェットハンドル
で基本的な作業は対応可能です。
また今後、タイヤやベルト(駆動系)の交換・メンテを行う際にも3/8インチソケットは活かせます。
| おすすめ差込角 | ソケット | 交換パーツ | ||||||
| オイル | ヘッド ライト | スパーク プラグ | ブレーキパッド | フロントタイヤ | リヤ タイヤ | ベルト | ||
| 3/8 インチ | 8mm | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 10mm | 〇※ | 〇 | ||||||
| 12mm | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 14mm | 〇 | 〇 | ||||||
| 5mm ※1 | 〇 | 〇 | ||||||
| 1/2 インチ | 19mm | 〇 | 〇 | |||||
| 22mm | 〇 | |||||||
| 24mm | 〇 | |||||||
※1:ヘキサゴンソケット
※2:ストレーナー清掃時に必要
最初に揃えるおすすめ製品構成
個人的には「TONE(トネ)」の製品で揃えることをおすすめします。
・どの製品も総じてユーザー評価高い(精度や品質が安定している)
・価格も高くない
とDIY用途ではコスパが高いです。
無名メーカー品はあまりおすすめできないです。
精度や品質のバラつきで「ハズレ」を掴んでしまうと、ボルトをナメてしまうリスクが高くなってしまいます。
バラ買い/セット買いどちらにするかですが、
・全く工具を持っていない方
→セット買いを推奨
・一部工具を持っている方
→必要な分だけバラ買いを推奨
します。
セット買いの場合
・トネ(TONE) ソケットレンチセット
こちらのセットがおすすめです。
8/10/12/14mmソケット(Dio110ベーシックで必要な3/8インチのソケットひととおり)が含まれているので、個別でバラ3/8インチのソケットを買う必要がなくなります。
ラチェットハンドルも付属します。
バラで揃えるよりも少しお得な価格になっていて、ソケットホルダーも付属しており便利です。
バラ買いの場合
・ソケット(全て3/8インチ、6角)
8mm
10mm
12mm
14mm
・トネ(TONE) ラチェットハンドル
TONEのラチェットハンドルはいくつかありますが、コスパ的にこちらの製品で十分だと思います。
セット買い/バラ買い 共通
・トネ(TONE) エクステンションバー
奥まったところにボルトがありラチェットハンドルで回しづらい(もしくは回せない)際に必要
・トネ(TONE) ロングスピンナハンドル
締まったボルトを緩める際に非常に役に立ちます。なくても作業できなくはないですが、圧倒的に作業が楽になるので個人的には必需品と思っています。
※現在私はSK11の製品を使用しているのですが、TONEより安く(半額以下)かつ問題なく使えているのでこちらの製品でもおすすめできます → SK11(エスケー11) ロングスピンナーハンドル
・AZ(エーゼット) パーツクリーナー
パーツの掃除等に必要です。乾きも早く、横向き・逆さ向きでも使え、ゴムやプラスチックにも優しめ、容量が十分にあり価格も安いのでガンガン使えます(私はパーツクリーナーはこれ一択です)。
・ZKTOOL 14mm & 16mm スパークプラグレンチ
スパークプラグの交換に使用します。プラグレンチは車載されていることが多いと思うのですが(Dio110は車載されている)、プラグは奥まったところにあるので車載品よりもこちらのプラグレンチを使った方が圧倒的に楽です。
○ハンドルの角度を変えられるユニバーサルジョイントで奥まったプラグを緩めたり締めたりしやすい
○マグネットになっていて外す際/取り付ける際にプラグを落とす心配をなくせる
・内装剥がし
ヘッドライトバルブ交換など、カウルを外す際に使用します。
ほとんどの商品は数種類のセットで売られていますが、スクーターでは小さい内装剥がしの使用頻度が高い(しかも小さい工具の方が削れてくるなど消耗します)ので、「安い(消耗したら買い換える前提)」「小さい内装剥がしの数が多めな」セットを選ぶと良いと思います。
・ドライバーセット
灯火類の交換、スパークプラグ交換など、バイクの外装カバーを外す際などで必要になります。
こちらの製品はハンドルをいろんな組み合わせに変えられて使いやすいです。
付属ビット(先端に付ける部分)ですが、スクーター整備ではほぼプラスビットしか使わないので余計なビットがたくさん付いてくることにはなりますが、いろいろなビットを持っておいて損はないです。
また、ビットは使っていると消耗するのと、精度の高いものを使う方がネジをナメにくくなるので、特に使用頻度の高い+2ビットについてはこちら → ベッセル(VESSEL)方頭ビット を合わせて持っておく(こちらをメインでDIY作業に使用する)ことをおすすめします。
トルクレンチについて
トルクレンチは、ボルトを適切な力で締めるための工具です。
※ボルトは締めが弱いと脱落などのリスクが高くなりますが、強すぎるのもネジ穴を痛めるためNG(厳禁)です。ボルトをネジ切ってしまうリスクもあり、そうなってしまうと最悪です(修理工場行きになり高額な修理費を払う羽目になりかねませんし、特にエンジンに直結する部分などの修理については嫌がって修理依頼を拒否されることもありえます)。
特にエンジン回りや足回りについては、トラブルからの交通事故にもつながりかねないのでトルクレンチを使用することを強くおすすめしたいです。
個人的にはデジタルタイプを推奨
トルクレンチには、カチッと音で知らせるアナログタイプと、数値表示されるデジタルタイプがあります。個人的には、デジタルタイプをおすすめします。
実際にあったトラブル
以前、安価なアナログトルクレンチを使用してオイルフィルター周りのボルトを締めた際、「カチッ」と鳴るまで回していたら気付かないうちにオーバートルクになっていて、ボルトをネジ切ってしまいました。
オイルフィルターのフタを閉められなくなったのでオイルを入れられず、自走できなくなってしまったためレッカーを呼ぶしか手がなくなりました。
しかも、「修理気軽に相談ください」と書かれていたところに電話で依頼したところ、なんと断られてしまいました。結局、事故車のフレーム修理なども受けているバイク修理がメインの業者に依頼し(二つ返事で受けてくれました)、レッカーで運び、埋まったボルトの除去とネジ穴再建までキッチリ良い仕事をしてもらえましたが、2万円以上の修理費がかかってしまいました。
何故デジタルをおすすめするのか
アナログ式は、規定トルクに達したかどうか(カチッと鳴ったかどうか)でしかはっきりトルク値が分かりません。
一方、デジタル式はトルク値が上昇していく過程を数字で確認しながらトルクをかけていくことができます。
特に以下の条件ではトルク管理がシビアになります。
・小径ボルト(8mmなど)
・アルミ部品
こういった箇所では、感覚ではなく「数値」で確認できるデジタルタイプの方が安心です。
デメリットも理解しておく
・アナログ式より価格が高めになる
・電池が必要(電池切れして手持ちの電池もない場合、一時的に作業できなくなる)
・整備熟練者(ある程度感覚でトルクが分かる)の場合は、アナログ式の方がスピーディに作業できる
この点ではアナログ式と比較してのデメリットになりますが、初心者・DIYユーザーのトラブル回避という意味ではデジタル式は十分に価値があると感じています。
おすすめ製品
現時点での個人的おすすめはこちらです(予算が許せばTONEの製品をおすすめしたい)。
・GOYOJO デジタルトルクメーター
○リーズナブル
○測定可能範囲が広い(ただし実質的には20~120Nmくらいが実使用可能な範囲と個人的に考えます)
△メーカー的にはやや不安あり
△差込角が1/2インチ(1/2 - 3/8変換アダプターが1個標準添付だが、手持ちのハンドルによってもうひとつ変換アダプターを用意するか1/2インチのハンドルを用意する必要がある)
・トネ(TONE) ハンディデジトルク H3DT135 差込角9.5mm(3/8″) ブラック 135N・m
〇ユーザー評価の高いメーカー
○校正証明書あり(精度が信頼できる)
○測定可能範囲が広い(ただしこちらも実質的には20~120Nmくらいが実使用可能な範囲と考えたい)
○差込角が3/8インチでバイクDIYにちょうど良い
△価格がGOYOJO製品より高い
※参考まで、私は複数のトルクレンチを所有・実使用しています(低トルク用はデジタル、高トルク用はアナログ式を使用)。
・3/8インチまでのソケット用
GOYOJO デジタルトルクレンチ 高精度 トルクレンチ
○測定範囲1.8~60Nm(低トルク向け)
○デジタルでトルク値をリアルタイム確認できる
△メーカー的にはやや不安あり
→ 実使用していて特に不満はありませんが、個人的にはこちらよりもおすすめで紹介しているコンパクト型の方が測定範囲の広さやコスト面でおすすめです。
・1/2インチのソケット用
DURAXION 1/2インチ トルクレンチ セット 8点組
〇校正証明書あり
△メーカー的にはやや不安あり
→ 実使用していて不満は現状無し
まとめ
DIYメンテナンスは「技術」ももちろん重要とは思いますが、それ以前に「工具選び」がとても重要です。
・最初から全部揃えようとせず、必要なものだけを選ぶ
ソケットなど、何も考えずに買っていると、使わないものが溜まっていったり重複したりなど、いつの間にか余計なコストをかけてしまいがちです。
→ この記事では必要な工具を無駄なくピンポイントで揃えられるようにまとめています
・安すぎる工具は避ける
安物買いの銭失いになって工具を買い換えたり、最悪バイクを修理するはめになってしまうと余計にコストが膨らんでしまいます。かといってプロ用の高額な工具だとコストがかかり過ぎてしまいます。
→ この記事では、できるだけコスパ面(安くて品質良い)を強く意識して最適解になるものを選んで紹介しました
・メンテナンス作業を劇的に効率化する道具は積極的に活用する
やる作業によって「多くの人が初めてやる時にハマりがちな」鬼門は実際にあります。それらはやり方で解決できるものもありますが、多くは「適切な道具」で解決できます。
→ 「必須ではないが是非使ってみてほしい」工具の導入を是非ご検討ください
DIY手順記事はこちら



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